まだまだ大丈夫?50代の薬剤師の転職事情
一般的に50代の転職は案件が少なく厳しい、と言われていますが、50代の薬剤師の転職状況は果たしてどのような状況なのでしょうか?結論から言うと可能性は充分あります。しかし転職可能なポジションと不可能なポジションが存在します。
現在の転職市場の状況や50代の薬剤師の方が転職を成功させるためのコツや方法を紹介します。
Contents
50代の薬剤師の就労状況とは
現在の50代の薬剤師の状況なのか、まずは現在の薬剤師の年齢構成比や50代の薬剤師の就労状況などを解説します。
現在の薬剤師の年齢構成
厚生労働省の2016年度の統計結果では、薬剤師の全体のうち50代が占める割合は19.5%です。因みに20代は14.4%、30代が25.5%、40代は23.8%です(20代はどんなに早くても23歳から勤務することになるため(現在の薬科大学は6年制)、少ない人数になってしまいます)。
年代別のボリュームゾーンは30代となりますが、それでもおよそ25%の割合であり、各年代の比率にそれほど大きな差がないことが理解いただけるでしょう。
50代の薬剤師の勤務状況
50代の薬剤師がどこで活躍されているかを紹介します。2016年の統計結果では、およそ60,000人の50代の薬剤師が勤務していますが、そのうち薬局で勤務している方がおよそ35,000人、次いで企業がおよそ10,000人、病院・診療所でおよそ5500人、大学がおよそ1100人、と続きます。
やはり薬局に勤務する方が大半(およそ58%)を占めています。
転職市場における50代の薬剤師の市場価値
次に転職という観点で、50代の薬剤師の状況や市場価値について説明します。
全般的に若い年代と比較すると正社員の求人が少ない
一般的に50代は若年層と比較すると正社員の求人数が少なくなりますが、これは薬剤師でも同様です。なぜ50代の求人が少ないのかは
- 「定年が近くて長期間の勤務ができない」
- 「体力的な問題」
- 「新しいことに対する習熟度のスピードが遅い」
といった様々な理由が挙げられます。
採用する側とすれば自然な心理であり仕方のないことです。
人が集まりにくい職場では年齢は関係なく募集はある
50代の求人が少ないのは間違いありません。しかし年齢を問わない薬剤師求人があることは事実です。
例えば積極的に拡大をしているドラッグストアであれば、薬剤師の存在は必要不可欠ですので年齢関係なく募集しています。また、地方圏や通勤困難な地区、といった人が集まりにくい職場でも幅広い年代の薬剤師を対象とした募集を行うことも多いです。
あえて50代を募集することもある
若手ではなく敢えて50代を採用したい、という職場もあります。既存メンバーの経験が浅いので経験豊富なベテランの力を借りたい、定着率が悪く短期間で退職する方が多いので落ち着いて勤務してくれる人が欲しい(定着率がなぜ悪いのかはしっかり確認しないといけませんが)、メンバーをまとめてくれる、マネジメント経験を持っている人を採用したい、などといった理由からです。
50代の薬剤師が転職を成功させるための秘訣
50代になると転職後に何らかの理由で後悔したと感じても、そう簡単に次の機会があるわけではありません。失敗できないので慎重に転職活動を行う必要があります。50代の薬剤師が転職を成功させるための秘訣を紹介します。
経験を活かせる仕事を探す
50代でも新たなチャレンジ(薬局から病院や企業、企業から調剤薬局など)をしたいと希望される方はいるかもしれませんが、さすがにキャリアチェンジは難しい状況です(別業界からドラッグストアへの転身は可能性があります)。50代の薬剤師が転職を成功させるには経験を活かせる職場を探すことがいちばんの近道です。
「経験を活かす」のは業界経験だけではなくマネジメント経験といった要素も含みます。
謙虚になる
いくら経験豊富でも謙虚な姿勢でいることは転職を成功させるためにとても大切です。どのような職場でも良好な人間関係を保つことに苦労しています。薬剤師が勤務している職場はあらゆる年代の方が勤務していることが多く、50代の方はただでさえ年齢がハンデとなります。経験を鼻にかけず年下の人にも謙虚で接することができる方でないと転職は成功しません。
雇用形態を柔軟に考える
転職意欲の高い方であれば、正社員にこだわらず派遣社員や契約社員も視野に入れて転職活動を行うことをおすすめします。例え契約社員や派遣社員でスタートしたとしても、勤務の実績次第では正社員の登用の可能性もあるからです。
長い目で活動する
薬剤師でも50代となると、転職活動を行っても短期間で決まらない可能性があることは否定できません。ですので、転職活動は、時間がかかることを覚悟し余裕を持って行ってください。
簡単に転職が実現しない可能性があることを踏まえ、勤務しながら活動を行うこと、また、選考が通らなくてもくよくよせずに次の機会にチャレンジし続けるスタンスが必要です。
50代の薬剤師が転職先を見つけるためには?
50代の薬剤師が転職先を見つけるための具体的な方法を紹介します。希望の職場を見つけるためにはとにかく幅広い情報源を持ってください。
転職エージェントを利用する
いちばんのおすすめは転職エージェントに登録することです。登録すればキャリアコンサルタントから求人情報だけではなく現在の転職市場の状況やトレンドも知ることが出来ます。また、薬剤師専門の転職エージェントには様々な雇用形態の求人案件が集まっています。50代の方でも応募可能な案件があるはずです。
転職エージェントには複数のエージェントに登録してください。幅広い情報源ができること、サービスの比較ができること、エージェント独自の案件情報を逃さないようにすること、などがその理由です。
転職サイトで探す
インターネットの転職サイトも有効な情報収集の手段です。「とらばーゆ」や「はたらいく」のような転職サイトは転職エージェントを使わずに採用を行う調剤薬局や診療所などの情報を掲載することが多いですし、「indeed」では希望のキーワードで検索すれば合致する案件が提示されます。
現在検索エンジンの性能も向上しており、Googleも求人情報の提供に力を入れています(「Google for Jobs」というサービス)。今後、有効な情報が簡単に入手することができるでしょう。
派遣会社に登録する
正社員のこだわりがなければメディカル業界に強い派遣会社に登録するのもひとつの手段です。派遣であれば正社員よりも案件の数は多く、より勤務地や環境などの面で希望に近い案件を見つけることができるでしょう。
また、紹介予定派遣の案件であれば正社員登用の可能性もあります。
50代の薬剤師におすすめの転職エージェント
転職活動の有効な手段として転職エージェントを紹介しました。現在多数の転職エージェントがありますが、その中で50代の薬剤師におすすめの転職エージェントを紹介します。
ポイントは- 「薬剤師の案件を中心に取り扱っていること」
- 「求人数が多いこと」
の2点です。
マイナビ薬剤師
https://pharma.mynavi.jp/
マイナビ薬剤師は就職支援サービスを展開しているマイナビグループが運営している薬剤師を対象にした転職エージェントです。マイナビ薬剤師には常時50,000件を超える多数の求人案件の依頼がありますので、年齢にこだわらない求人案件が見つかる可能性が高いでしょう。
薬キャリ
https://pcareer.m3.com/
メディカル情報サービスを提供しているエムスリー株式会社のグループ企業、エムスリーキャリアが運営しています。依頼されている求人件数はマイナビ薬剤師同様およそ50,000件と数多く取り扱っています。エムスリー株式会社は優良な医療情報サービス企業として多くの医療従事者から認知され高い信頼を得ています。信頼されているからこそ優良案件が揃っています。
まとめ
薬剤師は60代や70代でも活躍できますし、ベテランの力を必要としている調剤薬局では「50代歓迎」とあえて求人することもあります。
謙虚な気持ちがあれば、また現実を理解していれば50代の薬剤師はまだまだ転職可能です。自信を持って転職活動に取り組んでください。