退職届が持つ意味とは?タイミングや書き方で損をしない方法を解説
退職する際に提出する場合が多い退職届。
何も考えずに退職届を企業に提出している方も多いかもしれませんが、会社の都合に振り回されたまま退職届を提出すると損をしてしまいます。
今回はそんな退職届を提出するタイミングや書き方で損をしない方法をご紹介します。
Contents
退職届が持つ意味とは
まずは退職届がどういった意味を持つ書類なのかを確認しましょう。
退職届には書面で退職の意志を残す意味がある
従業員がその会社を退職したいと考えた場合、ほとんどのケースで退職届や退職願を提出するように求められます。
しかし、このような書類の提出は決して法律などで定められているものではなく、本来であれば口頭で上司などに伝えれば退職の手続きを進めてもらえるはずなのです。
それにも関わらず就業規則などで退職届の提出を義務付けている会社が多いのは、それだけ書面で従業員の退職の意志を確実に残しておくことが重要になっているからだと言えます。
退職届の提出でトラブルを未然に防げる
例えば、ちょっとした仕事上のトラブルで上司と部下が言い争いになったとします。
部下が一時的に感情が爆発して、こんな会社もう辞めると言い放ってしまった場合、上司としてはそれが本心のことなのか口走っただけなのか判断に困ることになります。
本心だと判断して退職手続きを進めていると、部下から謝罪があって退職も本気ではありませんと言われるとどうなるでしょうか。
退職すると言った、いや本気ではなかったということで再びトラブルが起きてしまうことになります。
こんな時、正式な書面で退職の意志を届け出てもらっておけば、冷静な判断に基づくものだとみなされるのでトラブルになるリスクを防ぐことができます。
正式な退職日や理由などを明記して提出してもらうことで、退職手続きをスムーズかつ正当性を持って進めることができるのです。
また、退職の手続きには雇用保険の離職票を作成するというものがあります。
離職票は従業員が退職した後に失業保険を受給する際に必須となる書類で、ここには退職理由を記入する必要があります。
勤続年数や何日まで会社に在籍していたかなど様々な情報を記入することになり、それによって受給できる失業手当の額が変わることもあります。
最終在籍日は失業手当だけでなく社会保険の保険料算出などにも用いられるため、退職日が一日ずれただけで大きく保険料や控除額が変わってしまう可能性もあります。
このように、退職した後のお金に関わる問題も起こり得るため、できるだけトラブルを避けるためにも事前に退職届をきちんと出してもらった方が良いのです。
退職日を明確にしておくことで、会社側だけでなく従業員側にとってもメリットが得られます。
退職届の雛形は企業が用意していることが多い
具体的な退職届にルールなどはありませんが、基本的には会社が雛形を用意していることが多いです。
必要とする情報をあらかじめ指定しておくことで、従業員はそれに従って記入すればスムーズに手続きを進められるようになります。
書き方も分かりやすくなるだけでなく、退職に際して返却すべき会社からの支給品や提出すべき書類なども指示することができるので、効率も高めることができます。
社員証や名刺、制服に作業服、健康保険証や文房具など会社によっては仕事に必要な様々な品を支給していることがあるので、漏れなく返却してもらう必要があります。
個別に指示するのは時間もかかりますし返却漏れも起きやすいため、あらかじめ退職届の雛形に記載しておくようにしましょう。
企業に退職届の雛形が無い場合はどうする?
会社所定の退職届が無い場合、普通の便せんに必要事項を記入して提出してももちろん構いません。
ただ、その場合は会社が必要としている情報が不足しているケースも多いので、インターネットなどで汎用の退職届をプリントアウトして使用すると便利です。
最近は退職届の書き方や抑えておいた方が良いポイントなども、インターネットで調べればすぐに知ることができます。
退職届は自主的に作るべき重要な書類
このように、退職届は従業員が退職する際に非常に重要となる書類であり、いくら法律で提出が義務付けられていないと言っても自主的に準備しておいた方が良いものだと言えます。
会社としても、余計なトラブルを防ぐために就業規則で規定しておいた方が良いでしょう。
従業員としては、初めて会社を退職する時はどのように退職届を記入すれば良いのか分からないことも多いので、書き方や注意しておくべきポイントを知っておくようにしましょう。
退職の意思表示と退職の理由は分ける!
退職をするという意思表示と退職理由はしっかり分けることが、退職で損をしない方法となります。
退職理由によって失業保険の支給額が変わる
退職届には様々な情報を記入する必要がありますが、外せない項目として退職の意思表示と退職理由が挙げられます。
どちらも記入されていないと再提出を求められることもあり、最初から指摘されないようしっかり書いておく必要があります。ただ、退職理由については特に注意が必要です。
退職理由は失業保険の支給額にも影響を与える重要なポイントで、書き方によっては本来受け取れるはずだった金額より少なくなってしまう可能性もあります。
記入する前に、自分はなぜ退職するのかを冷静に振り返ってみましょう。
一般的に退職届と言えば、一身上の都合により退職しますと理由を記入するというイメージがあります。
しかし一身上の都合というのは自己都合と判断されてしまい、従業員にとって不利に働いてしまう可能性が高いです。
仮に会社から人員整理の一環などで一方的に退職を迫られたような場合は会社都合の解雇に相当しますし、自分と会社側が何度も話し合って納得した上で退職するなら合意解約に当たります。
会社が業務縮小などで退職者を募り、自分が手を上げて退職するなら退職勧奨による解約となります。
ひと口に退職届といっても、このように様々な理由や意思表示の状況が考えられるので一概に一身上の都合とは書かない方が賢明です。
中には会社が用意した退職届の雛形に、あらかじめ一身上の都合などと印字されていることまでありますが、これは本来適切ではありません。
会社側の都合の良いように処理されてしまうので、必ず退職理由がどうなるかを確認しておくようにしましょう。
退職届を書いて退職する日付を書面に残すべき
退職届は、従業員が退職するという意思表や、それを確実に証拠として残すために必要とされるものです。
法律では提出が義務付けられているわけではなく、退職の意思表示さえ行っていれば問題なく退職できることになっています。
退職に関しては、従業員がいつ実際に退職するかの日付けが重要になってくるため、それを明示するためにも退職届が必要とされているに過ぎません。
従業員が退職の意思表示をいつ行ったかが最も重要となり、それさえ分かっていれば退職届を出さなくても良いといことになります。
ただ、これでは言った言わないの水掛け論になってしまう可能性があり、余計なトラブルを引き起こしかねません。
それでは会社にとっても従業員にとってもマイナスとなるので、書面で証拠として残しておいた方が好ましいと言えます。
あくまでも意思表示の証拠となるべきものなので、退職理由までは詳しく求められないことも多いです。
従業員側も退職理由が失業保険の給付金額に影響するとは知らない人も多いので、特に疑問も感じず一身上の都合と記入してしまうことも珍しくありません。
労働者の権利として準備されている失業手当を正当に獲得するためにも、退職届を記入する場合は意思表示と退職理由をハッキリと分けて理解し、記入することが欠かせません。
会社側に問題のある退職理由は遠慮せず正直に書いて良い
例えば、仕事そのものには不満が無かったのに、人間関係や上司の叱責などに耐えられなくて退職せざるを得ない状況に追い込まれた場合、または労働に対して支払われるべき給与が未払いになっているような場合、退職理由は決して一身上の都合とは言えません。
会社側に大きな問題があることは明白で、それを正しく伝える必要があるのです。
会社側の都合に合わせて一身上の都合と記入する必要は全くなく、離職票に記入される内容が変えられないように注意しておく必要があります。
退職したいという判断を下したのは自分でも、そうなってしまう理由は別にあるということを忘れないようにしましょう。
退職を申し出るとだいたい自己都合と考えられてしまいがちですが、自分のためにも理由をハッキリとさせておくことが大切です。
直接会社側に理由を伝える必要はありませんが、自分の中ではっきりと確認しておくことで、その後の失業保険の申請時に役立てることができるでしょう。
退職届・退職願は辞める前には必ず提出するもの?
退職届や退職願はどのタイミングで提出するべきなのでしょうか。
企業で規定されているなら退職届は提出するべき
退職届や退職願は、あくまでも会社側の手続き上必要になるだけの存在です。
法律によって提出するように求められているものではなく、会社がその書面に基づいて処理を行った方がスムーズに進められるため、提出を求めているに過ぎません。
雇用契約という契約に関わる法律を考えれば、従業員が口頭であっても退職する旨を雇用主に伝えれば退職の意思表示が行われたことになります。
契約に関して言えば意思表示というのは非常に重要なもので、明確に意思表示がされていればそれだけで契約を終了、つまり退職できることになります。
このため、退職届や退職願の提出は本来不要で、提出するのはあくまでも任意ということになります。
ただ、現実的にはいくら従業員が退職したいと申し出ても、雇用契約の相手である雇用主が認めない限りは契約を解約させることはできません。
雇用契約を終了させるにはお互いの同意が必要となり、退職の意思表示をした後に会社側に承諾してもらわなければなりません。
従業員を退職させるためには様々な事務上の手続きが必要になり、口頭で退職する旨を伝えただけでは記録を残すことができないため、事務手続きがスムーズに行えなくなってしまいます。
このため、会社側はあらかじめ会社独自の法律とも言える就業規則という規定の中に、退職を希望する場合は退職届を提出することを規定しています。
就業規則はその会社に勤務している従業員が従うべきルールであるため、いかに法律上義務がないとは言っても、規定されている以上は退職届の提出を求められることになります。
ただ、退職届を提出したことがそのまま退職に関する意思表示になるわけではありません。
会社に対して、退職したいということを初めて伝えた際に退職届を同時に提出する場合は退職届がそのまま意志表示となりますが、最初に上司などに口頭で退職を相談しただけの場合は退職届を提出しなくてもその段階で意思表示がされたことになります。
雇用契約の終了において最も重視されるのは意志表示であり、書面での提出はあくまでも事務処理上必要になるということを理解しておきましょう。
雇用形態によって退職届の取扱いは変わる
一般的な正社員の場合は上述したような取扱いになるのですが、契約期間に定めがあるような契約社員や派遣社員などの場合は少し事情が異なります。
もともとこういった雇用形態の従業員は、あらかじめ決められた一定の期間が満了した段階で自然に退職となります。
このような場合は自動退職とみなされるため、基本的には退職届などは別途提出する必要はありません。
仮に会社側が提出を求めてきた場合でも、期間が満了したことによる契約終了につき提出しなくても何ら問題はありません。
退職を勧められてしまった場合は、自分に退職の意志が無ければ勧めに応じて退職届を提出する必要はありません。
退職勧奨はあくまでも勧めであり、解雇のような強制力は持っていません。断ることで肩身が狭くなる可能性はありますが、必ず提出しなければならないというものでもありません。
解雇されて納得した場合のみ退職届を提出する義務がなくなる
一方で解雇の場合は、会社側から退職を命じられた形になります。
社会通念上問題のある行為や職務規定違反など重大な理由がある場合に解雇されるケースが多いですが、自分の意志で退職を申し出るものではないので退職届の提出は不要となります。
理由もなく一方的に解雇を通達された場合はそもそも退職そのものに関して正当性が無く、裁判で争われた事例もあります。
解雇通知に納得できなければ、退職届を提出する必要はありません。つまり、従業員の自主的な退職の意思表示が伴う場合は退職届を提出し、そうでない場合には提出する義務はないということになります。
自分の意志ではないのでやむを得ず退職するような場合、会社から言われるがままに提出してしまうと後々トラブルになってしまう可能性もあります。
提出を求められた場合には、慎重に必要性を判断するようにしましょう。
もっともスムーズに退職出来る退職届・退職願を出すタイミング
スムーズに退職届や退職願を出すタイミングには、効果的なタイミングというものがあります。
退職届を提出するタイミングは考えなくてはならない
会社を辞めたいと考えて申し出た場合、一日も早く辞めたいと感じている従業員がほとんどでしょう。
しかし実際には会社側の引き留めや引継ぎ、様々な手続きなどが発生するために、退職届を提出したからと言ってすぐさま会社を去れるわけではありません。
時間がかかってしまうのは避けたいところなので、できるだけスムーズに退職できるよう、退職届を提出するタイミングには気を配っておく必要があります。
一般的には、会社を辞めたい場合には直属の上司に退職届を提出するように就業規則に定めてある会社が多いです。
就業規則には提出の必要性だけではなく、いつまでに提出すべきかと言った期限やタイミングについても指定されています。
法律に基づいて考えた場合、希望する退職日の14日前までに申し出ておけば退職は認められることになっています。
正確に言うと、申し出た日から14日を経過した翌日に実際に退職できることになります。申し出は退職届の提出ではなく、意思表示だけでも構いません。
企業側の退職届の操作に従う必要は無い
しかし就業規則では法律に準じた規定にしていることは少なく、会社独自の設定をしているケースがほとんどです。
例えば、希望退職日の最低でも1ヶ月前までに退職届を提出するように規定されていたり、その期限を守れなかった場合は退職を認めない、逆に退職日を1ヶ月前の日付けで記入して退職届を提出するように指示されたなど、会社によって様々なケースが考えられます。
会社としては1人が退職すると新しい人材の確保や業務の引継ぎ、人事異動など様々なことを考えなければならないので、最低でも1ヶ月の猶予が欲しいと考えるのも無理はありません。
このため1ヶ月前までの意思表示という点に関してはトラブルとなるケースはほとんどないのですが、退職を認めなかったり退職届の日付けを操作するというのは正常なことではありません。
こういった特殊な指示をする会社は、自分たちの都合の良いように退職日を決めようとしているため、一切従う必要はありません。
これらはあくまでも会社側の都合であり、法律によって保護されている権利でも何でもありません。
仮に就業規則に退職日の1ヶ月前までに申し出るように記してあったとしても、法律で定められた14日前までという規定の方が効力が強くなるため問題なく退職することができます。
できれば退職日から14日前までに退職の意思表示をしておいた方がスムーズなのですが、どうしても事情があって14日以内に退職したいという場合、会社もやむを得ず退職日を14日後として処理する可能性もあります。
14日というのは法律の規定によるものなので、これは従業員としても納得せざるを得ません。14日が経過した後も色々と理由を付けて退職を先延ばしにするような場合、退職させないように工作している可能性が高いので一切従わないようにしましょう。
退職の意思表示から14日さえ経ってしまえば、法律に基づいて堂々と退職し、転職活動を開始したり新しい会社に就職することができます。
退職するなら明確な意思表示を退職届で示す必要がある
ただ、スムーズに退職するためには提出した退職届が確実に人事担当者のところまで届いていること、退職願ではなく退職届をきちんと提出していることなどの条件があります。
退職届を受け取った直属の上司が退職を認めず、本来人事担当者へ提出すべき届をいつまでも自分で持っていることもあります。
この場合は会社として退職の意志を確認できていないことになり、退職日に関してトラブルになってしまう可能性もあるので注意しておきましょう。
また、退職願はあくまでもお伺いという位置付けであり、明確な退職の意志の証拠とはなりません。
どちらで判断されるかは書面の内容によるため、記入する際にははっきりと退職しますと明記するようにしましょう。
もし退職しても良いか、会社に伺いを立てるような内容になっていると、退職の意志とは見なされずに退職させてもらえない可能性もあります。
退職理由の詳細を書く必要はない
退職理由は詳細に書く必要はありません。しかし、書き方によって損をしてしまう恐れがあるので気を付ける必要があります。
退職届の提出義務は無い
退職届と言えば退職理由を記入することが当たり前のようになっていますが、本来は理由は書かなくても良いことです。
そもそも法律では退職届の提出も必須とはされていないため、当然ながら理由についても必要ではありません。
退職理由を記入するのは、日本で古くから続けられてきた慣習のようなもので、決して義務というわけではないのです。
極端に言えば、どうしても退職届の提出が必要な場合は紙に退職日と退職する旨を明記しておけば良いのです。
「一身上の都合」と書かされると退職者が損をしてしまう
会社によっては、退職理由の記入を求めたり、一身上の都合と記入するよう強制してくるところもあります。
もちろん正当な理由でなければ従う必要はありませんし、仮に本当に退職が自分の都合だったとしても理由を書かなくても問題ありません。
一身上の都合と書いてしまうと、一般的には自己都合による退職だと解釈されてしまいます。
退職した後に発行される離職票には退職理由を記入する箇所があり、退職届に一身上の都合と自分で記入してしまうと離職票の方でも同じように記載されてしまいます。
なぜ自己都合退職だと問題なのかというと、自己都合退職の場合は失業手当は3ヶ月ほど受給できない期間が発生してしまうためです。
自分で一身上の都合と記入するということは、自己都合だと自分で認めたことになってしまうのです。
会社が一身上の都合と記入するように求めるケースが多いのは、ここに理由があります。
会社は従業員を雇うにあたって国から助成金を得ているケースが多く、仮に会社都合で従業員を止めさせてしまうと助成金を減額されたり打ち切られてしまいます。
それでは会社が損をしてしまうので、従業員が退職する場合は何としても自己都合にしてもらわなければ困るのです。
本当に自分の都合で退職するのでなければ会社都合と判断されることが多いので、安易に一身上の都合と書く必要はありません。
例えば上司が感情的でいつも恫喝してくるような環境が耐えられずに退職する場合、一見自分の判断で退職したように見えますが、実は辞めざるを得ない状況に追い込まれたと判断されるため会社都合による退職に該当します。
会社都合での退職なら、失業手当も3ヶ月の空白期間が無いためすぐに受け取ることができます。自己都合として処理されてしまうと、受給期間や金額で大きく損をしてしまうので注意が必要です。
一度自己都合で処理されてしまうと、それを会社都合だと覆すのには多大な時間と労力が必要になります。時間がかかっては意味が無いので、離職票が発行されたら右下にある離職理由欄をしっかりチェックするようにしましょう。
ここには会社側が記入した離職理由が記されているのですが、それに対して異議があるか否かを記入する欄も設けられています。
自己都合とされていても納得できない場合は、異議ありに印をつけて持参するようにしましょう。
トラブルになって弁護士が出てきても委縮しなくて良い
退職理由でトラブルになった場合、会社の顧問弁護士が対応に乗り出してくることもあります。
弁護士が出てくると、一般人としては委縮してしまって言われる通りに自己都合で納得させられてしまう可能性が高いです。
しかし弁護士と言えども退職関係の事務手続きに詳しいとは限らず、会社側が虚勢を張るために担ぎ出しているだけというケースもあります。
そのため、弁護士が出てきても委縮したり遠慮する必要は全くなく、あくまでも自己都合ではなく会社都合による退職だと通達することが重要です。
それらしく説明したり従業員側の非を指摘したりする弁護士も多いですが、誰が見ても明確に自己都合と分かる場合以外は会社都合での退職が認められる可能性が非常に高いです。
どうしても弁護士や会社が会社都合を認めない場合は、労基署や職業安定所などに相談してみると良いでしょう。
失業手当は新しい就職先が見つかるまでの経済的な助けとなるので、正当に受給できるように強い意志を持って行動することが大切です。
自己都合と会社都合の違いに注意!
退職理由には自己都合と会社都合という2つの種類があります。
この違いを明確に把握しておかないとトラブルが発生しかねないので、違いをしっかり理解しておきましょう。
自己都合は自分の考えや都合が理由で退職すること
これまで自己都合と会社都合では失業手当の金額に大きな差が出ると述べてきましたが、具体的な内容について詳しく分からないという人も多いでしょう。
退職届に退職理由を記入する際には、自己都合と会社都合の2つの違いをしっかり理解しておく必要があります。
まず自己都合による退職ですが、これは転職するために現在の会社を辞める、結婚して専業主婦になったり育児に専念したいので辞める、病気にかかってしまって働けないので辞めるといったような場合です。
この他、職場の同僚と気が合わずに肩身が狭いので辞めるというばあいも自己都合に該当します。
このように純粋な自分の考えや都合によって退職する場合は、自己都合退職と見なされます。
内容によっては失業手当の3ヶ月の停止期間が設けられない自己都合も存在するので、おおざっぱに記入するのではなく、できるだけ具体的に詳しく記入することが大切です。会社の環境が退職せざるを得ない空気を生み出しているような場合、それは自己都合ではなく会社都合だと判断できます。
退職を決めたのが自分でも、それを誘発した理由が別にあると判断されれば会社都合が認められるため、安易に自己都合という言葉を使用しないほうが賢明です。
適切な労働環境ではない場合は会社都合の退職となる
ちなみに、会社都合は自己都合以外の理由全てだと考えて問題ありません。
ただし、病気などで休職していたものの、休職期間が終わっても復職できなかった場合や、契約社員などで期間満了によって退職した場合、定年退職した場合などは自然に退職を迎えたと判断されるため自己都合でも会社都合でもないことになります。
会社都合というのは、上司が立場を利用して行う恫喝や業務の強要、同僚からの嫌がらせ、明らかな閑職に異動させられたなど環境的に自分の意志とは関係なく辞めざるを得ない状況に陥った場合です。
この他、いくら残業をしても残業代が支払われなかったり、退職を執拗に勧められた、会社が法律に違反する行為で利益を上げていることを知ってしまったなど、労働環境として適切ではない場合も会社都合だと判断できます。
自己都合と会社都合の明確な理由を知ることでトラブルを回避できる
このように自己都合と会社都合では明確な違いがあるのですが、実際に退職する従業員から見ると自分がどちらに該当するのか判断しかねることも多いです。
このため、自分でこれは完全に自己都合だと判断できるケース以外は退職理由をできるだけ詳しく記入しておいた方が良いでしょう。直接会社に提出する退職届には書きづらくても、退職後に受け取る離職票には退職理由に異議を申し立てることもできます。
できれば退職届の段階で詳しく記入したほうがスムーズに処理を進められるのですが、どうしても気が引ける場合は離職票でしっかりと申し立てるようにしましょう。
仮に会社が自己都合と書かなければ退職届を受け取らないなどと言ってきた場合、直接渡すのではなく書留や配達証明を付けた郵便で送るという方法もあります。
郵送なら会社も受け取りを拒否できませんし、直接上司の顔を見て渡すのでなければ本当の退職理由を書きやすくなります。
自己都合を強要された場合は公的機関へ相談するべき
退職理由は本来従業員が自分の判断や意志に基づいて記入するものであり、会社から指示された内容に従う必要のないものです。
それにも関わらず会社側が自己都合と書くように強要してきた場合、それは非常に問題のある会社だと言えます。
自己都合をしきりに強要してくる会社の場合、厚生労働省から給付される助成金を目当てにしている可能性が非常に高く、自分たちの都合を優先しているとしか考えられません。
場合によっては、その事実を助成金を担当している公的機関などに相談するようにしましょう。
このように、一見こだわりもなく一身上の都合と書いてしまうことの多い退職理由ですが、注意しておかないと自分が大きな損をしてしまう可能性もあります。
自己都合に見えても実際は会社都合だったというケースも非常に多いので、会社に支持されたとしても安易に一身上の都合や自己都合とは書かないようにしましょう。
退職理由を強制されるような企業に転職しないためには
退職理由を強制してくるような会社は良い会社とは言えません。
退職後、次にそんな会社に転職しないためには転職活動の時点からさまざまな点に気を付ける必要があるのです。
転職サイトで退職に関する相談をする
転職サイトとは無料登録することで転職に関するさまざまなサポートを受けることができるインターネット上のサービスです。
転職サイトでは転職のことももちろんですが、退職に関する相談も受け付けており、転職者が損をしないように退職するための方法を教えてくれます。
というのも、転職者が円満に退職できなければ転職活動にも悪影響が及ぶため、転職エージェントとしても転職者には円満に退職してもらったうえで、転職活動に集中してもらいたいのです。
ですので、退職届を提出すべきタイミングや会社との契約内容などから損をしないためにも、転職サイトを利用して滞りなく退職できるように相談するのがおすすめです。
企業をリサーチしたうえで目指す企業を設定する
退職の理由を強制するような会社は良い会社とは言えません。そういった会社にまた転職してしまうと、またすぐに辞めたくなり、退職のタイミングで再び苦労してしまうことになります。
こういった事態を防ぐためには、目指す企業を決める前に企業についてちゃんとリサーチする必要があります。
企業をリサーチすることによって、その企業の職場環境や人間関係などをチェックしておき、職場環境に納得したうえで転職すれば、長く働けて退職する際にもスムーズに退職できる可能性が高まります。
企業をリサーチすることでブラック企業を回避し、転職の成功率も高まるといった数多くのメリットを得ることができます。
転職でも退職でもメリットがあることなので、具体的に目指す企業を決める前に、事前のリサーチを怠らないようにしましょう。
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転職サイトでは登録することで転職エージェントが担当としてつきます。
そのエージェントの最初のサポートがカウンセリングであり、カウンセリングで得た転職者の情報から最適な求人をチョイスして転職者に紹介します。
ただ、このカウンセリングでは転職者、つまり自分の情報は詳しく伝えなくてはいけません。
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転職者がエージェントの紹介した求人を拒否すると、再びカウンセリングで情報を集め、また時間をかけて求人を紹介……という繰り返しになってしまいます。
エージェントが転職者に求人を紹介する場合、最高で一週間ほどの期間が空いてしまうこともあります。
これでは求人を選ぶ段階から余計に時間がかかってしまい、転職活動を思うように進めることができません。
それならばカウンセリングの時点で、最初から自分の情報を詳しく伝えておけば、一発で最適な求人を紹介してもらいやすくなります。
ですので、カウンセリングでは自分の情報をしっかり伝え、エージェントが自分にとって最適な求人を紹介しやすくなるようにしましょう。
まとめ
退職届について何も考えずに提出してしまい、損をしてしまうことが多々あります。
特に人間関係や業務内容など会社に原因があるにも関わらず、会社の都合に振り回されたまま退職届を書いてしまうと、失業保険など本来受け取れるはずのお金が受け取れなくなる恐れがあるので気を付けなくてはなりません。
そのためにも退職届に関する知識を身に着け、自分が損をしない退職届の書き方や提出のタイミングを知っておくことが重要となります。
また、安心して退職や転職を行うなら転職サイトに相談するのがおすすめです。
転職者に合う転職サイトについては、こちらの記事で評判と共に詳しく解説しているので、この記事と一緒に参考にしてみてください。